ヤクザと憲法


7. ヤクザと憲法

☆☆☆☆

監督:圡方宏司
プロデューサー:阿武野勝彦

東海テレビが昨年3月に放送したドキュメンタリー番組の劇場版「ヤクザと憲法」をKBCシネマで観てきました。

大阪の指定暴力団「二代目東組二代目清勇会」に密着した本作を観る前は、普段過ごしている世界とは異なる世界が見られると思っていましたが、少なくともこの映像は僕が知っている世界とあまり変わる事はありませんでした。

どの人物もチャーミングで、いわゆる大阪の気のいいおっちゃんという言葉が当てはまる気がします。

川口和秀会長が西成地区を歩くシーンもありきたりな(といっても、道端で倒れている人がいたり土地柄的な映像はあるにしろ)日常の風景を切り取っています。

この映画を観て思い出した映画が去年観た「テッド2」です。
「テッド2」もぬいぐるみのテッドが彼女と結婚するために人権を取るための奮闘を描いたものです。そこでモーガン・フリーマン演じる弁護士がテッドに言った一言「人権を取りたければいい子にしなさい」(言葉は正確ではないですが、このような意味でした)。これを聞いた時、僕は不覚にもそうだと思ってしまいました。しかし、それはセス・マクファーレンの強烈な皮肉、ブラックユーモアが隠されていたことに気付きました。いい子だから人権がある、悪い子だから人権がないという考えがそもそもの間違いです。全ての人に人権がある、これは憲法で定められています。

この当たり前ですが、難しいテーマは本作の核となる部分です。

ヤクザがいいとは決して思いませんが、かといって…

普段考えない事を考えさせられる、とてもいいドキュメンタリー映画でした。